負動産を相続したら知っておきたい負動産コラム
所有する上で知っておきたい
「特定空き家」や「管理不全空き家」
人口減少により使われていない住居である空き家が増加しています。管理が行き届いていない空き家は、倒壊や景観の悪化、不法投棄のターゲットにされるなど、周辺環境に悪影響をもたらすことが多く、社会問題となっています。 親が住んでいた家などを相続しても活用できず、空き家にしてしまうケースは少なくありません。相続した空き家の活用方法・処分方法、所有する上で知っておきたい「特定空き家」や「管理不全空き家」について、空き家問題の現状をふまえてお伝えします。
居住目的のない空き家数は今後も増加見込み
総務省の調査によれば、日本の空き家の総数は1998年時点で576万戸だったものが2018年時点では849万戸と、約1.5倍に増加しました。空き家には居住目的のない空き家だけでなく、別荘や賃貸用で人が住んでいない住宅も含まれます。
空き家問題で注目されるのは「居住目的のない空き家」で、その数は182万戸から349万戸と、20年間で約1.9倍に増加、2030年には470万戸に達する見込みです。ちなみに千葉県では2018年時点で空き家の総数は約38万3千戸で、そのうち居住目的のない空き家は約14万4千戸でした。
管理が行き届いていない放置された空き家は傷みが早く、倒壊や害虫・悪臭の発生、不法侵入、枝のはみ出し、景観の悪化といった周囲への悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの空き家を放置することによるリスクへの対策として、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」があります。
「特定空家」と「固定資産税の特例」
使用する予定がないにも関わらず、多くの方が建物部分を残しているのには、固定資産税の住宅用地特例を受けたいからといった背景もあるでしょう。
築年数の経った古い家屋であれば建物の部分の固定資産税はほとんどかかりません。
そのため、建物を残して土地部分の固定資産税の優遇を受ける方が、税金の総額は安くなります。
固定資産税は土地と建物それぞれに課せられますが、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、特例措置があり、税金が以下のように軽減されます。
固定資産税及び都市計画税の軽減措置
種類 | 小規模住宅用地(200㎡以下) | 一般住宅用地(200㎡超) |
---|---|---|
固定資産税 | 課税標準の6分の1に減額 | 課税標準の3分の1に減額 |
都市計画税 | 課税標準の3分の1に減額 | 課税標準の3分の2に減額 |
しかし、特定空き家に認定され、助言や指導を受けても対応をせず、勧告を受けるとこの特例は受けられなくなります。所有者が勧告・命令に従わない場合、50万円以下の過料に処されるほか、行政による強制撤去などが行われることもあります。
また、強制撤去が行われた場合、発生した費用は所有者から徴収されます。
特定空家に認定される条件
- そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「特定空家」の前段階
「管理不全空家」が新設される
「特定空家」が保安や衛生上、周辺に悪影響を及ぼしている空き家であるのに対し、「管理不全空家」は、放置すれば特定空家になる恐れがある空き家のことをいいます。周囲に悪影響を及ぼす前に対処できるようにするために新設されたもので、管理不全空家に認定されれば市区町村から改善のための指導があります。
指導後も状態が改善されなければ、市区町村は勧告を行い、勧告を受けた「管理不全空家」は、「特定空家」と同様に、敷地(住宅用地)に対する固定資産税の軽減措置の適用が受けられなくなります。
空き家の扱いに困ったら
ご相談ください
房総スタイルでは、不動産買取を中心にさまざまなサポートをさせていただいております。一般には買い手がつきづらい不動産であっても、当社にご依頼いただければ直接買い取れる可能性がありますので、空き家を売却するか活用するか、迷っている段階でもお気軽にご相談ください。
市町村が実施している支援制度や、税金の問題についてまで詳しく把握しておりますので、お客様のご希望に沿ったお手伝いができます。